接着剤シルセスキオキサン誘導体

商品名
光硬化型SQシリーズ

光硬化型SQシリーズは、無機骨格と光硬化性有機官能基を分子レベルで複合化した有機-無機ハイブリッド材料です。ハードコート材、封止材、耐熱性付与材やガラス代替材料等として開発しています。ラジカル重合型とカチオン重合型をラインアップしています。

特長

シルセスキオキサンとは

シルセスキオキサン(SQ)とは、主鎖骨格がSi-O結合からなるシロキサン系の化合物で、[(RSiO1.5)n]の組成式で表されます。単位組成式中に1.5個(1.5 = sesqui)の酸素を有するシロキサンという意味で、[Sil-sesqui-oxane]と称されます。SQは、その組成式[(RSiO1.5)n]から分かるように、無機シリカ[SiO2]と有機シリコーン[(R2SiO)n]の中間的な物質として位置付けることができます。従って、SQは耐熱性や硬さなどの無機的な特長と柔軟性や可溶性などの有機的な特長を併せ持つことができます。完全な無機物質である不溶性のシリカとは異なり、各種の汎用樹脂と均一に相溶するので、樹脂の配合・調製・加工・成形などが容易に行えるという利点があります。
SQは種々の骨格構造を取ることができ、カゴ型、ハシゴ型、ランダム構造などが報告されています(図1)。SQを構造的に見れば、有機ユニットと無機ユニット(SQ骨格)が分子レベルで複合化された材料として捉えることができます。SQ骨格には様々な有機の機能性基を導入することができるので、その機能を反映させた材料設計も可能となります。これらのことから、SQは高度な機能発現が期待できる新規な有機-無機ハイブリッド材料として近年注目されています。

図1 シルセスキオキサン(RSiO1.5)nの代表的な構造例

光硬化型SQシリーズとは

光硬化型SQシリーズ(以後「SQシリーズ」)とは、SQ骨格(無機ユニット)に光重合性基(有機ユニット)を導入した新しいタイプの光硬化型有機-無機ハイブリッド材料です(図2)。光重合性基として、ラジカル重合性のアクリロイル基(AC)とメタクリロイル基(MAC)、またはカチオン重合性のオキセタニル基(OX)を有しています。SQ骨格は、前述したようなランダム構造やカゴ型構造などから成っています。

図2 SQシリーズのモデル図

開始剤を配合したSQシリーズは光や熱で良好に硬化します。硬化前の外観は無色透明の粘稠性の液体です(写真1)。光硬化のモデルを図3に示しました。光重合性基が反応して分子間架橋(硬化)が進むと、有機の領域と無機の領域とが分子レベルで複合化したような有機-無機ナノハイブリッド構造を構築すると考えられます。従って、得られた硬化物は、高硬度、高透明性(写真2)、高耐熱性、高耐候性等の特長を有することになります。

写真1

写真2

図3 「SQシリーズ」の光硬化モデル図

SQシリーズの特徴

SQシリーズ各グレードの特徴を表1に示しました。ラジカル硬化方式の「AC-SQ」および「MAC-SQ」とカチオン硬化方式の「OX-SQ」があり、前者は光ラジカル開始剤、後者は光カチオン開始剤を配合して、硬化させることができます。ユニークな製品として、SQ骨格の一部にポリジメチルシロキサン(シリコーン)を導入したSIグレードも用意しています。得られた硬化膜は、膜表面にシリコーンの物性が付与されるため、油性インキを良好に弾くなどの特性を示します(写真3)。また、無機含有率を増やすことにより、耐擦傷性や耐磨耗性を大きく向上させたハードコートグレード(MAC-SQ HDM、OX-SQ HDX)もご用意しました(写真4)。

表1.SQシリーズの特徴
  グレード 共通する特徴 個別の特徴
ラジカル硬化型 AC-SQ TA-100
  • 耐薬品性、耐熱性に優れた硬い被膜を形成
  • 高耐熱性
    Td5※1= 380℃(窒素中)
  • 各種アクリルモノマーとの相溶性良好
  • UV硬化可能であるため、耐熱性のない基材に対しても適用可能
  • 高硬度
  • 鉛筆硬度6H以上(鋼板※2
MAC-SQ TM-100
AC-SQ SI-20
  • 高硬度
  • 鉛筆硬度6H以上(鋼板※2
  • 耐汚染性に優れる
  • 撥水性に優れる
MAC-SQ SI-20
MAC-SQ HDM
(溶液品)
  • 耐摩耗性、耐擦傷性に優れる
  • 硬化性に優れる
    膜厚10μm以下の薄膜でも速やかに硬化
  • 固形分濃度(NV)50%のプロピレングリコールモノブチルエーテル溶液
カチオン硬化型 OX-SQ TX-100
  • 耐薬品性、耐熱性に優れた硬い被膜を形成
  • 空気中の酸素による重合阻害がない
  • 膜厚10μm以下の薄膜でも硬化性が良好
  • 低硬化収縮率(2~5%)
  • 脂肪族エポキシ、脂環式エポキシとの相溶性良好
  • UV硬化可能であるため、耐熱性のない基材に対しても適用可能
  • 高耐熱性
    Td5※1= 400℃(窒素中)
  • 高硬度
    鉛筆硬度 5H(鋼板※2
OX-SQ SI-20
  • 耐汚染性に優れる
  • 撥水性に優れる
OX-SQ HDX
(溶液品)
  • 耐摩耗性、耐擦傷性に優れる
  • 硬化性に優れる
  • 固形分濃度(NV)50%のプロピレングリコールモノブチルエーテル溶液
  • 1Td5:硬化物の5%重量減少温度
  • 2冷間圧延鋼板:SPCC-SD(JIS G 3141:2005)、リン酸亜鉛表面処理品

写真3 SI-20を用いた硬化膜の表面物性(耐汚染性テスト)

写真4 スチールウール擦傷試験後の被検試料

用途

SQシリーズの用途

  • ハードコート材料
  • 各種高分子材料の改質用添加剤、強化剤、耐熱性付与剤
  • 架橋剤
  • 各種基材の保護膜
  • 各種コーティング材料の改質用添加剤、コーティング材料用原料
  • 耐汚染性コーティング剤(SIグレード)
  • 各種高分子材料の複合材料用原料
  • 低誘電率材料、絶縁膜材料
  • LED封止剤用原料
  • 光導波路用材料
  • 半導体封止材料
  • レジスト材料、ハードマスク材料
  • その他、光・電子材料
文献
  • 伊藤真樹 監, "シルセスキオキサン材料の化学と応用展開", シーエムシー出版(2007)P.150.
  • コンバーテック 加工技術研究会, 6, 97(2008).
  • ケイ素化学協会誌, 30, 26(2013).
  • 伊藤真樹 監, "シルセスキオキサン材料の最新技術と応用", シーエムシー出版(2013)P.242.
当社研究年報TREND
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仕様

SQシリーズの液物性

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SQシリーズの硬化物物性

SQシリーズに光開始剤等を配合し、光硬化物物性を、下表に示します。

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