東亞合成研究年報24号

2021年1月1日発行

論文

光重合により得られるアクリルポリマーの末端構造

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アクリレートの光重合は、フォーミュレーションの多様性や速硬化性を活かし、インキ、塗料、接着剤等、様々な用途に応用されている。工業的な光重合は製造工程を簡略化するため、酸素による重合阻害を受けるにも関わらず大気下で行われる。良好な重合性を得るために、多くの用途で多官能アクリレートがモノマーとして用いられる。このような重合では、重合初期にゲル化が起こる。ゲル化したポリマーは溶剤に不溶であるため化学的分析手法が乏しく、重合機構の解析は不十分なままである。重合機構への理解を深めることは、本技術のさらなる発展に大きく寄与すると考えられる。本報では、汎用の高圧水銀ランプをUV光源として用い、産業上一般的なUV照射強度にてモノアクリレートの光重合を行った。代表的な光開始剤を用いた光重合系について溶剤可溶なポリマーの構造解析を行い、重合機構および重合に付随する副反応機構に関する考察を行った。

次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤としたナノセルロース調製のための新規酸化法

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未乾燥パルプを高濃度次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で酸化し、超音波処理によってパルプの解繊を実施した。水溶液の次亜塩素酸ナトリウム濃度は22%とし、酸化反応時間は30分、2時間、6時間とした。
得られた酸化パルプは容易に解繊でき、酸化時間30分のパルプ分散液は約20分の超音波処理で透明となった。酸化時間6時間のパルプ分散液は、反応終了時に超音波処理なしでも既に透明であった。分散液中の繊維を観察すると、酸化時間30分では繊維径3nm、繊維長400nmのナノセルロースが観察された。酸化時間6時間の試料では繊維径に変化はなく、繊維長は170nmであった。
また、この酸化によって得られたパルプの化学構造を解析した結果、C2とC3の間が酸化的に開裂し、2つのカルボキシ基が導入された構造が示唆された。

新技術紹介

有機-無機ハイブリッドポリマーの高熱伝導絶縁材料への利用

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近年、電子機器の小型・軽量化と、それに伴う発熱密度増大への対策として、構成部材である樹脂材料への放熱性向上の要求が高まっている。絶縁性に優れ、接着性を有する有機樹脂材料は幅広く使用されているものの、一般的に低熱伝導率である。そこで、樹脂に高熱伝導率の無機フィラーを混合した熱伝導コンポジット材料の開発が活発に進められているが、樹脂成分の高温下での性能低下が問題になる場合が多い。そこで当社では、高い耐熱性を有する有機-無機ハイブリッドポリマーを樹脂として使用することで、高い耐熱性と放熱性、絶縁性を有するコンポジット材料を開発した。本稿では、その詳細な特性について紹介する。

新製品紹介

抗ウイルス加工剤「ノバロン®Ⅳ」

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新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、人々の安全・安心な環境に対する意識は向上し、抗ウイルス加工製品への関心が集まっている。そこで当社は、従来にない高性能な新規抗ウイルス加工剤「ノバロンⅣ」を開発した。本製品紹介では、着色性、耐熱性、加工性、安全性の面で優れ、さらに、即効性、耐水性を備えた、エンベロープウイルスに対して高い抗ウイルス効果を有する「ノバロンⅣ1000」に加え、非エンベロープウイルスに対して高い抗ウイルス効果を有する「ノバロンⅣ2000」、エンベロープウイルスと非エンベロープウイルスの双方に高い抗ウイルス効果を有する「ノバロンⅣ3000」の性能と特長を紹介する。

繊維素材用粘着剤「アロンタック® MPT-500」

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近年、衣料製品においてデザイン性や機能性を向上するために無縫製化が進んでいる。繊維生地どうしの貼り合わせには、ウレタン系ホットメルト接着剤が使用されることが多いが、接着個所の風合いの低下や黄変や経年劣化などの耐久性に課題がある。本稿では、繊維素材用として新たに開発したアクリル系溶剤型粘着剤アロンタックMPT-500について紹介する。MPT-500は、成膜時に化学架橋ではなく、物理架橋を形成することで、室温下における高い凝集力と高温下における流動性の両立を果たした。ウレタン系ホットメルト接着剤に比べて、非常に柔軟であるため、風合いを損ねることなく繊維生地どうしを接着することができ、接着後の耐黄変性や耐経年劣化性にも優れる。

光硬化性瞬間接着剤(開発品)

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瞬間接着剤は、その硬化の速さから一般用・工業用問わず幅広く使用されている。しかし、表面やはみ出し部、厚膜では硬化が十分に進行せず、接着強さの低下や白化現象による表面の汚染という課題があった。これらの課題を解決した新製品「アロンアルフアLCA-11」を紹介する。LCA-11は、瞬間接着剤に光硬化性を付与することで、「タクトタイムの短縮」「完全無白化」「厚膜部・表面硬化性の向上」を実現した。これらの特徴から、白化現象を嫌う意匠性の高い用途や電子材料分野への展開できる。また、盛り上げ接着や厚膜接着など従来の瞬間接着剤では困難であった使用方法にも適用可能である。

2成分反応形アクリルゴム系屋根塗膜防水材「アロンコート®SQ(SQ-F配合)」

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アロンコートSQ(SQ配合)は防水性と耐久性に優れた屋根用塗膜防水材であり、多くの実績を有する。しかし、水系防水材を厚塗り(液厚約1.7mm)するため、冬期の無風時や高湿度時には夜露や降雨によって再乳化して流されたり、翌朝になっても成膜せず次工程に移れないなどの問題が発生していた。
新たに開発したアロンコートSQ(SQ-F配合)は、水分蒸発に依存する現在の成膜システムを抜本的に見直し、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーのイオン反応を利用することで、水分蒸発速度が低い低温高湿下でも成膜性を大幅に改善した。また、イオン反応をコントロールすることで、同一材料で夏期の可使時間を確保することができ、一年を通して使いやすい材料とすることに成功した。

ペルソナ手法を活用した入浴用品の開発 -楽らく開閉シャワーベンチ-

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アロン化成は、安寿25周年を機に、介護する人と介護を受ける人が快適な生活を過ごせるよう、新たなブランドメッセージ【「やりたい」を「できる」に変えよう。】のもと、介護用品の開発に取り組んでいる。
近年は老々介護が増加してきており、筋力が低下してきた高齢者でも容易に操作ができる製品の需要が高まっている。そこで今回は、関節疾患の人でも指を曲げずに操作できるレバー構造やキャスターを前脚に搭載し軽い力で折りたたみ開閉操作ができるシャワーベンチとして開発した「楽らく開閉シャワーベンチ」を紹介する。

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