研究開発トピックス
新事業開発
新製品開発事業部は、未来を切り拓く革新的な化学材料の研究および開発に取り組んでいます。モビリティ、電子材料、メディカルケアの3つを注力分野とし、顧客と社会に新しい価値を提供することを使命としています。当社が保有する、分子設計・配合・解析技術というコア技術を駆使して、斬新なアイデアの探索から最高品質の追求までを行い、顧客の高度な要求にも対応できる高付加価値製品を提供しています。
特に、顧客との密接なつながりを大切にし、迅速かつ的確にニーズに応えるオーダーメイドのソリューション提案を目指しています。当社の研究開発部門、各事業部門、生産技術部門などの多様な人財がチーム一丸となり、パートナー企業や研究機関との連携強化、オープンイノベーションを活用し、各研究テーマの早期アウトプットを実現するとともに、持続可能な社会の実現に向けて挑戦し続けます。

TOPICS
LiDAR用アウターレンズ アロニックスシート
LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を利用することで暗い場所でも数100m離れた物体を検知することができる次世代センシング技術です。自動車やロボティクスなどの自動運転を拡大させるため、幅広い分野で活用が始まっています。アロニックスシートは、独自の反応制御技術を新たに開発し、通常は接着剤やコーティング剤など数ミクロンで使用するアクリル系特殊オリゴマー「アロニックス」を板状に三次元架橋させた高品位なシートです。優れたレーザー光透過性と耐環境性能、割れにくさを兼ね備え、LiDARの性能を最大限に引き出します。日本での採用を先駆けとして、グローバル展開を加速させます。さらにスマートグラスなどの新規用途への展開も進めていきます。

新素材を活用した歯科用骨補填材の開発 EGCG結合ゼラチンスポンジとβTCP複合体
当社は、大阪歯科大学と京都工芸繊維大学が開発したEGCG※結合ゼラチンと骨と同様にカルシウムとリンから構成され、生体吸収性の高い素材であるβTCPを複合化して、新たな歯科用骨補填材の開発に取り組んでいます。
歯科用骨補填材は、歯科インプラント治療において、骨の厚みや高さが不足している場合に行われる歯槽骨の再生を目的としたもので、インプラント治療の成功率を高めるために欠かせない重要な役割を果たします。開発中の製品は従来の製品と比較して、早い骨再生速度と、優れた操作性で歯科医師の利便性を向上させることが期待されます。今後は、当社がこれまで培ってきたスポンジ製造技術を応用し、早期製品化を目指していきます。
※ EGCG:(-)-エピガロカテキンガレート

モビリティ分野におけるカーボンニュートラルへの貢献 次世代電池用固体電解質
電池材料事業のさらなる拡大のため、今後市場拡大が期待される全固体電池向けに、高イオン伝導性固体電解質の開発を推進しています。当社の広範な事業領域で培った技術力を活かしながら、新しい技術も積極的に取り入れ、有機材料および無機材料の両面から競争力のある固体電解質の開発に取り組んでいます。有機結晶やポリマーをはじめとする有機材料は、全固体リチウムイオン電池における隙間材、結着材の用途を想定し実用化に向けた開発を進めています。また、ナトリウムイオン電池向け酸化物系無機電解質はパイロットスケールでの製造に成功し、全固体電池のみならず従来型の電解液系電池の性能向上材料への適用も視野に入れ、国内外での顧客獲得を目指しています。


多孔質材料MOFから開発した新規消臭剤 ケスモン「NS-60」
当社は、化学吸着による無機系消臭剤「ケスモン」を展開しており、消臭繊維や介護製品向けに広く採用されています。当社では近年注目されている多孔質材料MOF(Metal Organic Framework)から成る新規消臭剤ケスモン「NS-60」を開発しました。「NS-60」は従来品と比較して広く各種臭気に対して優れた消臭性能を発揮し、リサイクル樹脂臭をはじめとする幅広い用途への対応が可能です。今後は、当社が培ってきた無機機能製品の設計・製造技術を基盤に、各種MOFの合成・製造を推進し、消臭のみならず、環境浄化やガス分離など多様な分野への応用展開、社会実装を目指します。これらの研究開発活動を通じて、社会課題の解決と持続的な成長に貢献できると考えています。


セルロースナノファイバー(CNF) 疎水変性CNFの開発
現在販売中のアロンフィブロT-OP100(酸化セルロース)は粘度かつ高濃度という特長を生かし、塗料などの顔料分散用で採用されています。しかし、水を分散媒として提供するため、使用対象は水系材料に限定されます。当社ではCNFの用途拡大のため、独自技術で疎水変性CNFを開発しました。光硬化性樹脂に配合した場合、直径数ナノメートルのCNFは光を遮らず、硬化後の樹脂の耐擦傷性・耐屈曲性を向上させます。特に従来困難であった透明材料(光学部品など)の補強に期待されています。更にCNFの低熱膨張率を生かし、温度による寸法変化の小さい接着剤などへの適用も期待されています。2026年にはサンプル供試体制を構築して多くの顧客に評価いただき、早期採用を目指します。

