気候変動抑制に向けた取組み
(カーボンニュートラルの実現に向けて)

当社はサステナビリティ方針のもと、将来世代にわたる豊かな社会の持続的な発展を目指し、環境対応を重視した事業活動に取り組んでいます。
環境問題の中でも、地球温暖化・気候の変化は社会生活を脅かす大きなリスクとなっています。台風の大型化、集中豪雨の増加、生態系の変化など、その影響の増大が懸念されています。
化学産業はエネルギーを多量に使用することから、気候変動抑制への取組みを最重点課題として、温室効果ガスの排出量削減を意欲的に推進していきます。

1. マネジメント体制

気候変動関連の課題については、社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」においてCSR課題の重要項目として検討しています。
「サステナビリティ推進会議」の審議結果は、経営会議、取締役会に報告され、事業戦略の策定・経営判断、気候変動課題への対応策・目標に関し、審議、決裁されています。
また、レスポンシブル・ケア(RC)、リスク管理、コンプライアンスに関わる事項については各々に委員会を設けて審議を実施しています。

2. 温室効果ガス削減の長期ビジョン・目標

当社は、これまでGHG排出量削減の目標を「2030年に2013年比26%削減」として、省エネルギー、生産効率化などによるGHG排出量削減に注力してきました。その結果、2022年には基準年である2013年比で24%削減となり、目標の達成が見込める推移となっています。
一方で、世界的に気候変動影響リスクが高まる中、日本でも温暖化防止、脱炭素化への取組みの加速が求められるようになっています。
当社としても未来の豊かな暮らしの実現にさらに貢献すべく、これまでのGHG排出量削減目標を見直し、2021年に新たな削減目標を設定しました。

GHG排出量削減長期ビジョン・目標

当社の生産活動に伴い発生するGHG排出量を対象に、2030年、2050年の削減目標を設定しました。

新たに策定した削減目標の達成に向けて、省エネルギー・生産効率化の追求を基本に、GHG排出の少ない燃料への転換、再生可能エネルギーの導入、CO2を分離・回収・再利用する新たな技術の導入など、様々な面から施策を検討、推進していきます。

サプライチェーンを含めたGHG排出量の把握

サプライチェーンを含めたGHG排出量は3つの区分からなり、自社の生産活動に直接関わる排出量である燃料の使用(Scope1)と電力などのエネルギー需給(Scope2)があり、これに加えて当社の上・下流で、原材料の生産から末端のお客様で生産した製品の廃棄に至るまでの各工程で発生するGHG、ならびに生産活動に直接関わらない従業員の出勤、社有車の燃料などのGHGの排出量(Scope3)があります。
当社の事業活動に関連してサプライチェーンで生じるGHG負荷の軽減を図るため、Scope3の排出量算定を実施しました。※東亞合成単体
Scope3の内、カテゴリー1(C1:購入した製品・サービス)が約7割を占めており、原材料調達に関わる低GHG化が主な削減ターゲットと考えています。

3. TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への取組み

当社は各種化学製品を製造する過程で多量の電力、燃料を使用し、温室効果ガス(GHG)を排出しています。
一方でモビリティー、エレクトロニクス、ライフラインなどの領域で気候変動に貢献する製品も数多く提供しています。
GHG排出量の削減と製品での貢献の両面において、気候変動対応は経営の重要な側面であり、当社は 2019年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(以下TCFD)に賛同しました。
TCFDカイダンスに沿ってシナリオ分析などを行い、ステークホルダーへの情報開示と健全な対話に取り組んでいきます。

TCFD情報開示推奨項目

気候関連リスク・機会(シナリオ分析)

気候変動が及ぼす影響についてGHG排出量の多い基幹化学品を主体としてリスク・機会の分析を行いました。

【シナリオ】

  • 気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会について、「2℃未満シナリオ」および「4℃シナリオ」を用いて分析を行いました。
  • 「2℃未満シナリオ」は、脱炭素社会に向けて社会の規制・技術・市場・評判が変化するケース、「4℃シナリオ」は、脱炭素が進まず慢性的・急性的な気象変化が顕在化するケースを想定しています。

【シナリオ分析】

事業影響評価と対応策

指標と目標

カーボンニュートラルな社会の実現に貢献できるよう、先に示した「GHG排出量削減長期ビジョン・目標」の達成に向け、技術の進展も踏まえた計画的な取組みを今後も続けていきます。