東亞合成の技術開発ストーリー

東亞合成では、環境負荷物質であるトルエンへの対応として、2008年から当社製品であるアロニックスの「製品残留トルエン濃度の大幅削減」に取り組み、2010年に従来製品の10分の1未満への低減に成功。そして2013年、トルエンを使用しない製造技術を開発し、主要グレードにおいて、トルエンフリー(使用量ゼロ)を実現しました。

R&D総合センター生産技術研究所
総括グループ
R&D総合センター応用研究所

トルエンフリーへの転換

さまざまな固体や液体を溶かすことができる溶媒として、化学業界では一般的に用いられてきた「トルエン」。その一方でトルエンには毒性があり、長期間吸入し続けると人体に影響を与える可能性があるほか、シックハウス症候群の原因物質の1つにもなると言われています。国からもトルエンはPRTR法やVOC規制の対象とされ、年々その規制は厳しくなっています。

「東亞合成では、塗料やインキ、接着剤など、さまざまな製品の原料として使用されている光硬化型樹脂の製品シリーズ『アロニックス』の製造過程で、トルエンを溶媒として使用してきました。しかし、規制強化の流れもあり、お客さまからは『毒性のあるトルエンを減らしてほしい』という声が出始めていました。そこで、まず製品残留トルエンの濃度低減に取り組み始めたのです。」(伊藤)

東亞合成は、過去の実績をもとに精製条件を工夫することによって、製品中のトルエン含有量を10分の1未満に低減する製造技術を確立。約100品種の銘柄において新しい技術へと切り替え、一定の評価を得ることができました。ただ、「可能なら、毒性のあるトルエンは使わないでほしい」というのがお客さまの本音です。そこで、さらに改善を進め、トルエンをまったく使用しないトルエンフリーの製造技術の開発に着手しました。

トルエンを使わない製造技術を確立

当初は溶媒をまったく使わない方法も検討されましたが、製品の品質やコスト面から断念。トルエンに代わる新しい溶媒を探索する方向へ軸足を移すことにしました。その後、かなりの数の物質を評価していきましたが、溶解力・水との分離性・安定性・揮発性などに優れるトルエンの特長をすべて持つ溶媒は、なかなか見つかりませんでした。

「そこで、1つの溶媒ですべてをカバーするのは難しいと考えて、製品の性質に合わせて溶媒を使い分けることを考えました。アロニックスの全グレードをいくつかのグループに分けて、そのグループごとに適した溶媒や製造条件を検討し、トルエンフリー製造技術の確立を目指すこととしました。」(沓名)

アロニックスの全グレードの中で、生産量の多い製品を取り上げ、基本となる製造処方を確立し、同じグループの各グレードに展開する方針で開発を進めています。そして2013年、まずは基本となる数種のアロニックス製品について、トルエンフリーの製造処方を確立し、従来品と遜色ない品質の製品を製造することに成功しました。この中には、トルエンフリー製法で製品化を実現した国内初の事例があります。

トルエンフリー成功の要因

この成功の要因には、東亞合成が保有する技術力の高さや、携わった研究者たちの熱意があったことはもちろんですが、それに加えて研究・開発を行なう環境の良さも挙げられます。

東亞合成のR&D総合センターには、大きく分けると基礎研究、応用研究、製品開発、生産技術開発の部門があり、約150人の研究者が在籍していますが、彼らのデスクはワンフロアに集約されています。もちろん実験室は別にあり、集中して実験にのぞむことができますが、パソコンを使った作業は、垣根のない執務室で、みんなが顔を合わせて行います。何か疑問があれば他部門の研究員にも相談でき、複数のミーティングスペースですぐに打ち合わせができるという、研究者同士のコミュニケーションを重視した環境が団結力を生み、難局を乗り切る原動力になりました。

「技術開発の部門で確立したトルエンフリーの製造技術ですが、その過程で他部門に意見を求めたことも多く、視野を広くして研究できたことが成功につながった要因だと思います。トルエンフリーの製造技術を確立するまで、本当にたくさんの失敗を重ねてきましたが、結果的には自分の引き出しを増やすことができましたし、このことが今後の研究の糧になると思います。」(沓名)

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