東亞合成研究年報20号

2017年1月1日発行

新技術紹介

噴霧型指紋検出用アロンアルフア®

シアノアクリレートを用いた指紋検出方法の改良として、これまで他手法を含めても検出がきわめて困難であったコンクリートやレンガなどの多孔質材料上の潜在指紋の顕在化について検討を行った。多孔質材料では、皮脂や塩などの指紋由来の成分が、内部へ浸透するため最表面に存在しないことが検出を困難にしている最大の原因であると考えられ、硬化被膜の厚みを利用し最表面に染料含有被膜を露出させることにより検出可能であることが分かった。指紋成分を溶解しないシリコーンオイルを溶媒とし、エチルシアノアクリレート溶液をスプレー塗布することにより、鑑識現場で簡便に多孔質上の指紋検出操作が可能となり、指紋検出キットとして完成を見た。

セラミック前駆体としてのシルセスキオキサン誘導体 VH-SQ

分子内にビニル基と Si-H 基を有するシルセスキオキサン誘導体 VH-SQ 及び St-H-SQ は、1,000℃での加熱に於いても極めて低重量損失であることを以前に報告した。この優れた熱的特性は、有機-無機ハイブリッドポリマーを高温処理しセラミックを得る手法であるPolymer-Derived Ceramics (PDCs) への応用に好適である。そこで本研究では、VH-SQ, St-H-SQ を 1,800℃まで熱処理し、その熱分解過程や生成物を詳細に調査・比較した。その結果、ポリマー組成の違いに起因し、両者の熱炭素還元反応の発生温度域、生成物の組成に顕著な差異が現われた。特に VH-SQ では、熱分解で得た非晶質 SiCO セラミックが特異な耐熱性を示し、1800℃処理では高純度炭化ケイ素結晶を与えることが分った。

タッキファイヤーを表面偏析させた粘着剤における粘着力の角度依存性

タッキファイヤー(TF)を表面偏析させた粘着剤は、TF未添加系粘着剤の柔軟なバルク特性を維持しつつ、被着体との界面接着力が向上する特長をもつ。本検討では粘着力の剥離角度依存性を調べた。その結果、TF偏析粘着剤はTF未添加系よりも大きな角度依存性を示した。剥離過程を側面から観察したところ、TF偏析粘着剤の方が剥離角度に応じて、粘着剤先端部の伸長角度が大きく変化した。このことから、界面接着力が粘着力の剥離角度依存性に大きく影響することがわかった。また剥離角度と伸長角度の関係性は、支持体の弾性率によっても変わり、粘着力や剥離モードに影響した。

新製品紹介

ハイブリッド弾性瞬間接着剤(開発品)

瞬間接着剤の特長は、何と言ってもその“瞬間接着性”にあり、汎用プラスチック、金属等であれば、正に瞬間で強力に接着することができる。しかしながらその硬化物は硬く、耐(冷熱)衝撃性や剥離接着力といった接着特性に悪影響を与えている。これらの欠点を解決すべく、瞬間接着剤への柔軟性・弾性付与を試みた。反応誘起相分離の活用を中心に検討を進め、柔軟かつ各種接着特性に優れた新たな接着剤「ハイブリッド弾性瞬間接着剤」を開発に成功した。今回、その耐冷熱衝撃性、耐湿熱性といった接着性能、及び硬化物の特徴について紹介する。

アロン®水性マルチプライマー

アロン®水性マルチプライマーは、水系一液で環境にやさしく、低温下での成膜に優れ、多様な下地に適用でき、防錆性にも優れた万能プライマーである。水性一液でありながら、5℃の低温環境下でも1時間程度で成膜し、数時間で付着強度を発現する。コンクリートなどの吸込みのある下地はもちろん、塩ビなどの有機系下地、鋼板、アルミなどの金属下地にも適用できる。更に金属下地に対する防錆性能を付与できることから、下地の種類によって各種プライマーを使い分ける必要がなくなる。一つの材料で様々な下地に適用できることから、施工時のミスの低減や省力化にも大きく貢献することができる。本製品紹介では、アロン®水性マルチプライマーの特長やアロン®建材製品における展開について紹介する。

新規光硬化型材料

液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びこれらを搭載したタッチパネル用の光学部材に用いられる接着剤やハードコート材料には、高度な特性を要求されるケースが近年増えている。当社では、これらニーズに応えるべく、既存品にはない機能を有した新規光硬化型材料を開発している。今回、光学材料用の新規光硬化型接着剤として、種々の被着体に適用可能なラジカル系及びラジカル・カチオンハイブリッド系接着剤を紹介する。更に、光硬化型コーティング剤用の新規モノマーとして、低粘度・高硬度アクリレート(グリセリントリアクリレート)、耐擦傷性・高屈曲性アクリレート及び高水酸基価多官能アクリレート(ウレタンアクリレート原料用)を紹介する。

跳ね上げ座面が入浴スタイルを変える-バスボードH-S H-L はねあげくん-

浴槽縁の跨ぎを安全な座位で行うための福祉用具『バスボード』は、その構造上、浴槽に浸かるためにバスボードを取り外す動作が必要であることから使い難いとの声があった。そこで市場の声を改めて聴取し、多くの方が楽に安全に使えるよう、座面を跳ね上げ構造とすることで問題解決を図った。実現のためには業界初となる壁付け手すり回避構造や厳重な指挟み防止対策、新たなグリップ形状を必要としたため、新技術を導入し対応した。その結果、操作が容易になったことで利用可能な対象者の大幅な拡大に成功した「バスボードH-S H-L はねあげくん」を紹介する。

技術文書発表一覧

技術文書発表一覧表(2015年10月~2016年09月)

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