東亞合成研究年報 TREND 創刊号

1998年1月1日

論文

イミドアクリレート化合物の紫外線硬化特性

環状酸無水物、アミノアルコールおよびアクリル酸よりイミド基を有するアクリレート化合物を種々合成し、これらのイミドアクリレートの紫外線硬化型樹脂としての応用を検討した。

その結果、他の汎用アクリレートと比較し、紫外線照射時の硬化性、各種基材への密着性および硬化塗膜の柔軟性に優れることがわかった。

さらにマレイミド骨格を有するイミドアクリレートは、光開始剤無添加でも紫外線照射により硬化することがわかった。マレイミドアクリレートを使用することにより、従来から問題になっている光開始剤に起因する耐候性の悪さ、臭気および毒性等を改善できる可能性がある。

メタリル樹脂の硬化反応およびその物性

これまで、筆者らは耐熱性を有するメタリル樹脂を開発する目的で種々のメタリルモノマーを合成し、これら単量体とマレイミド類との共重合体の耐熱性や機械的強度を評価してきた。その結果、ビスメタリル化合物とビスマレイミドとの組合せ(以下MMRと略記する)に於いて良好な耐熱性硬化物が得られることがわかった。

モデル反応による硬化メカニズムの推定により、硬化温度と成形体の強度との関係を説明することができ、MMR硬化に於けるene付加反応およびDiels-Alder反応を温度で制御できることがわかった。

筆者らは推定硬化メカニズムに基づき最適な硬化条件を見出し、得られたMMR成形体の諸物性および積層板材料としての物性評価を行った結果、MMR成形体が、単に耐熱性に優れるのみならず、引張り強度や曲げ強度などの機械的物性、耐熱老化性および電気特性に優れることがわかった。

さらに、エポキシ樹脂を配合することによりMMRは、強度と耐熱性のバランスのとれた材料になることを見出した。エポキシ樹脂を配合したMMR組成物の接着特性を調べた結果、エポキシ樹脂を30wt%まで配合しても150℃に於ける引っ張り剪断接着強さの変化はなく、またエポキシ樹脂を30~50wt%配合しても急激な低下が認められないことから、エポキシ樹脂配合MMRは、高い耐熱性をもつ接着剤として期待できる。

水性シリコーン系グラフトポリマーの溶液挙動と塗膜物性

シリコーンマクロモノマーとメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のラジカル共重合を行い、グラフトポリマーを合成した。次に、グラフトポリマーを水酸化ナトリウムで中和し、水可溶性の水性シリコーン系グラフトポリマーを合成した。水性シリコーン系グラフトポリマーの水溶液中の挙動として臨界ミセル濃度を測定したところ、シリコーンの導入により、臨界ミセル濃度が低濃度化し、かつ、アゾベンゼンの可溶化量は5倍以上増加した。(水-アセトン)系での溶解性の変化を1H NMRにより検討したところ、アセトン量の増加によりMMAに対するシリコーンのピーク面積比が大きくなる現象が見られ、ミセル状態の変化が示唆された。また、水性シリコーン系グラフトポリマーの塗膜表面物性を測定したところ、臨界表面張力はシリコーンの導入によって減少し、動摩擦係数は、分子量の比較的大きいシリコーンマクロモノマーの導入により減少が見られた。

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